須田泰成 1999 モンティ・パイソン大全 洋泉社
デヴィッド・モーガン 須田泰成(訳) 2003 モンティ・パイソン・スピークス! イースト・プレス
広川太一郎のモノマネをする人は必ず「ちょんちょん,このォ!」って言う。このセリフの主はエリック・アイドル。パブでビールを飲むテリー・ジョーンズを肘でこづくスケッチ(日本で言うところのコントのこと)で,エリックが”Nudge nudge!”って言うのを「ちょんちょん」と吹き替えた広川さんはエライ(どうもアドリブではないらしいのだけど)。ついでに言うと,テリー・ジョーンズは飯塚昭三,ジョン・クリーズは納谷悟郎,グレアム・チャップマンは山田康雄,マイケル・ペイリンは青野武,テリー・ギリアムは古川登志夫,エリックをアテた広川太一郎を入れて,これがパイソンズを吹き替えたオリジナルメンバー。
1969年からBBCで放送されたコメディ番組「モンティ・パイソンズ・フライング・サーカス(第1~3シリーズまでこのタイトルで,第4シリーズは単に「モンティ・パイソン」だった。以下,モンティ・パイソン)」が最初に日本で放送されたのは1976年のこと。以来,ビデオやLD,DVDという媒体を通じて,われわれはパイソンたちのスケッチを楽しむことができるなんて,なんて素晴らしい時代か!
モンティ・パイソンって何?そう言う貴女,こんな本なんか読まずに,まずはかれらが生きて動いて叫んで走る映像をご覧になっていただきたい。この二冊を手に取るのはそれからです。ブラックユーモアが嫌いでクレームばかりの貴女も,ぜひともご覧になっていただきたい。なにがユーモアで,なにがユーモアでないかは,合理的思考からするといつまでたっても謎なのですよ。筒井さんのてんかんも,岡林さんの放送禁止歌も,便器になった王監督も,なにがユーモアであり,なにがそうでないか,よっく感じ取ってほしいのだなあ(考えて,ではない。たぶん考えても答えは出ない)。
DVDを観て,ユーモアの粋を楽しんで,さてもうちょっと,という人のために,この二冊があるのです。須田さん,あなたは広川さんの次にエライ!