現代的課題としての英語教育:学習論としての「あまちゃん」(03)

dun (2014年1月28日 23:43)|コメント(0)| トラックバック(0)

外国語教育をどうするかは,日本の教育において大きな問題であり続けてきました。近年の動向としては,より早期の段階で公的な英語教育を開始することが目指されているようです。

内閣の諮問機関である教育再生実行会議が平成25年5月28日に出した第三次提言は,現行の教育制度をグローバル化に対応させるという方向性を強く打ち出したものでした。

そこでは,初等中等段階においてもグローバル化に対応した教育が必要だとして,小学校における英語学習の拡充が提言されています。

国は,小学校の英語学習の抜本的拡充(実施学年の早期化,指導時間増,教科化,専任教員配置等)や中学校における英語による英語授業の実施,初等中等教育を通じた系統的な英語教育について,学習指導要領の改訂も視野に入れ,諸外国の英語教育の事例も参考にしながら検討する。

(「これからの大学教育等の在り方について」(第三次提言)(平成25年5月28日)p.4)

上記はあくまで内閣に対して行われる「提言」であり,そのまま実行に移されるわけではありません。ただし,文部科学省はこの提言を受けて小学校における英語教育の拡充について検討しているとのことです。

参考 下村博文文部科学大臣記者会見録(平成25年10月25日)

おそらく,この動きは提言でおさまらずに,きわめて近い将来,実行に移されるだろうと思われます。そのとき私たちは,小中学校の児童生徒が英語を駆使できるようになるためにどのような教育を行えばよいのでしょうか。

さきほどの問い,「アキはなぜすみやかに北三陸の訛りを習得できたのか」に対する答えは,英語教育の成果を実りあるものとするための条件を考える上で1つのヒントになるのではないでしょうか。なにしろアキはすぐに訛りを使えるようになったのですから。

ここで,私なりの結論を先に言いますと,「アキがすみやかに訛りの習得ができたのは,統合的動機づけにもとづく,北三陸訛りイマージョン教育の成果だ」ということになります。

「統合的動機づけ」とか,「イマージョン教育」とかいった言葉が並んでいます。これから,これらの言葉について解説していきましょう。

なお,「あまちゃん」を題材として外国語教育について論じるに際して,以下の点についてはひとまず置いておきます。

現代の日本において議論の対象となっているのは,特に小学校段階における英語教育の導入・拡充であり,アキは高校生であることから,教育対象となる子どもの発達段階が大きくずれています。また,そもそも,言語間の近さによって一般的な習得の容易さは異なっており,日本語と英語の場合は他の言語(例えば,韓国語)と比べると言語間の距離が遠く習得が困難であること。それに比べれば,訛りは一般に,1つの言語のバリエーションです。言語間の近さは最大限に近いと言っていいでしょう。

すなわち,アキの訛り習得の過程は,小学生の英語習得と同じだとはとうてい言えません。ただしここでは,外国語学習について考える上で基礎的な概念を紹介することを目的としていますので,あえて無視しているのだということとしてご了承ください。


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