大教室で講義をするために(3)

dun (2014年2月14日 17:55)|コメント(0)| トラックバック(0)

3. Twitterという学習回路を開く

ぼくがTwitterのアカウントをもっており,しょっちゅう何かつぶやいているのと同じように,受講生もしょっちゅう何かつぶやいたり,タイムラインを追っていたりするわけです。講義をする上でこれを何とか利用できないかと思っていました。

今回の第1回の講義の終了後,自分のアカウント情報を見ると,フォロワー数がじわっと上がっていました。どうやら受講生がフォローしてくれたということが分かりましたので,いっちょやってみようという気持ちになりました。

そこで,担当回数の半分が過ぎた頃,おもむろに,講義専用のハッシュタグを設定し,レジュメに記載しました。「#KN2amcn」というもので,KyoikugakuNyumon2 AMaChaNの略です。

それまでも,講義中に講義に関連した内容を(←ここ重要)ツイートしてくれた受講生はいました。ハッシュタグを使うことで,個々ばらばらのつぶやきを1本の時間の流れに統合し,全体を閲覧することが可能になります。

論より証拠,こちらから今回の講義中や講義の外において,講義に関することとして受講生が行ったツイートを見ることができます。

はじめは,賑やかしというか,お遊びでハッシュタグを入れたツイートをする受講生がちらほらと見られるくらいでした。私はそれに対してツイートの内容と同じコンテクストでリプライすることとしました。つまり,まじめに講義内容と関係するのであればまじめな,遊びであれば(例えば,「単位ください」など)ふざけたリプライを返すようにしていました。受講生によっては「教授から返信が来た!」と恐れおののいたり喜んだりといろいろな反応があります(ちなみに,私は「教授」ではないのですが,多くの受講生は大学の先生のことを「教授」と呼ぶものだと考えているようです)。

そのうち,講義のTAをしてくれた院生さんが,自分のアカウントを使って講義の実況をすると申し出てくれました。そこで,最後の2回は,TAさんに講義のリアルタイム中継をお願いすることとしました。結果的に,この中継はとてもよい効果を生んだと思います。すなわち,ハッシュタグで統合されたタイムラインに1つのストーリーを持たせることができ,個々の受講生のツイートはそのストーリーをコンテクストとして読み解くことが可能になるのです。イメージすると,ストーリーというしっかりとした幹に1本1本の枝が突き刺さっていくという感じでしょうか。

ここで本当に嬉しかったのは,講義に関連したツイート群をtogetterにまとめてくれた受講生がいたことです。こちらからお願いしたわけではないのですが,「自分の復習になりますから」と自発的に引き受けてくださいました。しゅがーさん,本当にありがとうございます。講義は「ナマモノ」なので,終わってしまうと講義した者ですらそのときのことを忘れてしまいます。ですが,こうしてまとめていただけると思い出すことができていいですね。

今回個人的にTwitter連動がうまくいった(ように感じる)背景には,実況をしたことがあるTAさんがいたことと,受講生の中に積極的にハッシュタグを使ってつぶやいてくれる方がいたこと,があったように思います。逆に言えば,そういう幸運なことがないと,寂しい結果になるかもしれません。

さて,Twitterが学習の回路としてどのような可能性を持っているのかについてです。

受講生には専用のハッシュタグを知らせてありますので,講義をしているさなかに,他の受講生がどんなことをつぶやているのか,リアルタイムで検索し,閲覧することが可能です。これによる効果は2つあったように思います。

1つは,私の話したことに対する,他の受講生の反応を知ること。例えば,「いじめ」を取り上げた回では,この問題に対する受講生間の態度の違いが鮮明に出て,あたかもグループディスカッションが起きているような感覚を,後からタイムラインを見返してみて感じました。受講生同士が現実に面と向かって話すことではなかなか得られない話し合いの内容だったのではないかと思います。実際に,「いろいろな考えを知ることができてためになる」というツイートも目にしました。

2つ目は,特に大教室の場合はそうですが,互いに面識のない受講生同士で,つながりが生まれるということ。これは不思議なもので,「北大生である」という共通項しかない人々がたまたま同じ講義に参加していて,たまたまハッシュタグを用いてつぶやくことでつながりがそこに生まれるのです。これはある種の「学習」と言っていいでしょう。もちろん,こういうつながりが苦手であったり,嫌いであったりする方もいるでしょう。そういう方は,ハッシュタグをつけずにつぶやけばいいだけの話であります。

実はもう1つ効果があって,それは私にもたらす効果なのですが,講義中に受講生がスマホをいじっていてもまったく気にならないのです。なぜなら,上記のように講義中の他の人のツイートを閲覧していたり,あるいは実際にツイートしている可能性があるからで,そういう形での講義への参加を許している以上,むしろどんどんスマホを見てほしい,と思えてくるのです。冗談じゃなく,実感した本当のことです。

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大教室で講義をするために(2)

dun (2014年2月14日 17:17)|コメント(0)| トラックバック(0)

2. 講義用のスライドを用いたレジュメ

何のことはないのですが,要は,パワーポイントのスライドを用いて講義を行うため,そのスライドをレジュメとして配布したというだけの話です。

昨年までは,私はパワーポイントで作成した配布資料をレジュメとして配ることはできれば避けていました(学会などでは別です)。私が話すことをノートにとってほしかったからです。その代わり,スライドに盛り込んだ図表などは資料として配布していました。ただ,私の話すスピードが速いのと,どうしても作り込むスライドの枚数が多くなり,多くの学生がノートをとれきれずに追いつかないという結果になってしまっていました。

これだと,ノートをとる気にもならずに結果的に講義に参加しにくくなってしまうのでは,と考え直すにいたりました。実際に受講生からはスライドを配布資料にしないことに対する不満が毎回出ていました。

そこで今回から方針を変え,スライドを印刷して,講義前に受講生に配ることとしました。

パワーポイントのスライドを配布資料としたものは,おそらく大学にいれば一度は目にしたことがあるでしょう。その作成の仕方はいろいろあると思いますが,私には以下のこだわりがあります。

・A4横置きの用紙に,スライドを4枚掲載するスタイルとすること。

 パワーポイントで配布資料を作成する際に,多くの方はA4「縦置き」に6枚を掲載する方が多いように思います。ただこれでは,スライド1枚ずつが小さくなってしまい,いきおい,スライドの中に書かれた文字も小さくなってしまい見づらいように思っています。そこで,スライド1枚ずつを大きく見せるために上記のスタイルを採用しました。

 前述のようにサポートサイトに配布資料をあげてありますので,どんなものかご覧ください。

 ただし…

・講義の際に提示したスライドと,配付資料に掲載するスライドを微妙に変えること。

 これには3つの理由があります。

 1つ目は,著作権の関係。私は今回担当した講義においてドラマ「あまちゃん」を利用しました。ドラマの内容を伝えるために,NHKの公式サイトにあがっているいくつもの写真をピックアップし,講義中に用いるスライドの中に盛り込みました。ただ,そのスライドをそのまま印刷し,受講生に配ることはやめた方がいいだろうと判断しました。そこで,NHKのサイトからもってきた写真をスライドから削ったバージョンのパワーポイントファイルを作成し,それを配布資料用として印刷することにしていました。サポートサイトにあがっているのはこのファイルをPDFにしたものです。

 2つ目は,講義に参加し,ノートをとってもらうこと。パワーポイントのスライドをレジュメとして配布するのを嫌う先生(昨年までの私を含めて)の話をうかがうと,「レジュメを配ると,学生はそれをもってすぐに教室から出て行ってしまう」「学生はまったくノートをとらない」と嘆いておられました。確かにそのように行動することは合理的ではあります。なぜなら教員が講義中に説明することの「要点」がすべて盛り込まれているから,あえて自分でノートをとる必要がないわけです。今回は講義中に用いるスライドと配布資料を微妙に変えたので,講義に実際に参加し,投影されているスライドの表記と手元の資料とを見比べながら不足している部分をノートしていかないと,資料を十分に理解できないようになっていたかと思います。

 3つ目は,えー,ここまで書いているうちに忘れました。思い出したら追記します。

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大教室で講義をするために(1)

dun (2014年2月14日 12:01)|コメント(0)| トラックバック(0)

履修登録者200人を超える講義を,半期のさらに半分だけ担当しました。その際にいくつか工夫をしたので,何をしたかメモしておきます。

1. 出欠確認

私のつとめている大学では,1年生は通常,学生証を兼ねるICカードを各教室に設置されたカードリーダに読ませることで出欠確認を行います(各学部に分属された2年生以降は,その学部の入っている建物次第で,教室にリーダがあったりなかったりします)。

私が担当した講義でもICカードによる出欠確認をおこなったのですが,それと並行して,今回新しく導入したのが,私が個人で借りているサーバ上で動くウェブ調査用のシステムであるQCAS(Questionnaire Construction and Administration System)を援用した出欠確認法でした。


QCASは現在中部大学におられる水野りか先生が作成されたシステムです。本来の使い方としては,質問項目に対してリッカート尺度で回答させるような質問紙調査をウェブ上で行うことが想定されています。

便利なことに,このシステムは自由記述による回答も可能な仕様であったため,多くの講義で採用されているようなコメントカードとしても使えるのです。

論より証拠,実際に作ってみたのがこちらです。学生番号,氏名,感想があればそれを回答できるようにしてあります。

受講者は自前のスマホやケータイを使ってこのシステムを利用し,出席した旨を報告します。ちなみに,感想は書いても書かなくてもよいこととしました。書かなくてもよいとしたのですが,半分以上の受講者が感想を書いてくれていたのがとても嬉しかったです。

スマホやケータイでこのシステムにアクセスする際に,講義の回ごとに変えているURLをベタ打ちしてもらうのも大変なので,毎回レジュメに当該のURLへ誘導するためのQRコードを掲載しておきました。受講者にとっては「QRコードで出欠をとる」というのが新鮮だったようです。

講義終了後,サーバから結果のデータをダウンロードします。単純なcsv形式のデータなので,テキストエディタでもエクセルでも読むことができます。データのサンプルは図1のような感じです。

sample14021401.jpg

図1 QCASを用いて作成された出席および感想のデータ(黒塗りの部分は学生番号,氏名が書かれている)

データの左から,回答端末の種類,回答日時,学生番号と氏名,感想の順です。1行で1名のデータなので,受講者の人数分,このリストが続きます。

ここからは,出欠確認を私がどのようにしていたかの裏側です。

まず,データをエクセルで読み込みます。csv形式なので,上記の項目ごとに列で区切られたシートができあがります。

次に,学生番号と氏名の列を基準として並べ替えをします。こうすることで,大学の教務システムの履修者リストとつきあわせることができます(履修者リストも当然学生番号順に並んでいるので)。

たったこれだけで,出欠確認をおこなうことができます。紙の出席確認カードであれば相当時間がかかる作業なのですが,このデータに基づいてエクセルのソート機能を使えば一瞬です。

また,今回,私はすべての感想ひとつひとつにコメントを返すことを心がけました。多くの講義では,前時に出た感想に対して本時において教員がコメントを返すことをしていると思います。私も時間が許せばそうしましたが,今回の講義では映像を見せるという時間帯を確保しなければならない関係で,感想や質問に対して講義中に返答できない可能性がありました。

そこで,「サポートサイト」を設置し,そこに受講者からの感想や質問とともに私からのコメントをすべて掲載することにしました。このサイトには講義中に配布したレジュメや資料も置くこととしました(その代わり,資料の再配布はしないので,各自ダウンロードするようにと伝えました)。受講者には講義のオリエンテーション時にこれらのことを伝えるとともに,感想や質問をネットに公開されたくない場合は,その旨もあわせて回答してほしいと伝えておきました。今回は,そういう方は2名だけでした。

サポートサイトに掲載する手順ですが,まず,感想や質問を文字の長さ順に並べ直します。これもエクセルを使えば一発です。

次に,感想の列の隣にコメントの列を作り,私の方で記入していきます。この,コメントを書くことがとても時間がかかりました。

最後に,それをすべてサポートサイトにアップします。

QCASは以前から手に入れていて,何かに使えないかと思っていました。今回出欠確認用に使ってみましたが,思ったよりも便利なものだと感じました。水野先生に感謝申し上げます。

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