当研究室の伊藤崇准教授が、共立出版より著書を出版いたしました。

伊藤崇 (2020) 大人につきあう子どもたち:子育てへの文化歴史的アプローチ

「子育て」は子どもの生存に不可欠なもの、という考え方は常識的ですが、それは子育てを行う大人からの見えに基づく見方です。では、当の子どもにとっては大人の行う子育て実践はどのように見えているのでしょうか?

本書は、 人間の発達に関する心理学的なアプローチである文化歴史的アプローチ(Cultural Historical Approach)に立脚し、周囲の大人たちとの相互行為を通して子どもが自分の生きる環境をいかにして組織しているのか、という問題を議論します。子どもにとって「大人が自分(子ども)に対して行う子育て」とは、子どもが生活環境を組織する際の手がかりとなるものです。

相互行為を分析する際には、社会学における会話分析(Conversation Analysis)の方法論を援用し、大人と子どもの相互行為を微視的水準で記述しています。このように社会学と心理学の方法論や枠組みを用いて、本書では子どもから見た「子育て」という人間の活動の意義について論じます。

子どもの発達に対する私たちの見方が変わるかもしれません。ぜひご一読ください。