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“Mind, culture and activity: Seminal papers from the Laboratory of Comparative Human Cognition”を読む会のお知らせ

こんにちは,北海道大学の伊藤です。

唐突ですが,上記の本を読む会を私的に開催します。つきましては,参加者を募集します。

経緯をお話ししますと,大学院の演習として開講予定だったものが,まさかの履修希望者ゼロという憂き目にあったため,せっかくならとオープンにオンラインで実施しようと考えた次第です。

有名な本なので説明は不要かと思いますが,要は,マイケル・コールたちによって初期にはアメリカ東海岸で,後期には西海岸で立ち上げられ活動していたLaboratory of Comparative Human Cognitionが出していたニューズレターに掲載された論文の中から,コールやエンゲストロームたちが選んでまとめたものです。ニューズレターのバックナンバーは無料で読むことができます。
https://lchc.ucsd.edu/Histarch/newsletters.html

私自身,ぼんやりとこの世界に入ってきたもので,文化歴史的アプローチの文化歴史的な文脈をぼんやりとしか把握しておらず,しっかりと理解しておきたいと思い,本書を読むことにしました。「なぜいまさら?」と訝しむ方もいらっしゃるでしょうが,温故知新という言葉もあります。なにか発見があるかもしれません。

実施方法は,1回につき1本のターゲット論文を決めて,レポーターに報告してもらったあと,議論する形式を取ります。どの論文を読むかはご参加いただいた方が自由に選べることとします。なお,本書の内容や目次などはこちらをご参照ください。
https://www.cambridge.org/jp/universitypress/subjects/psychology/cognition/mind-culture-and-activity-seminal-papers-laboratory-comparative-human-cognition?format=PB&isbn=9780521558235#contents

開催日は10月から毎週木曜,18時15分開始でおそくとも20時には終われるようにします。初回は10月2日です。この日は私がレポートします。

参加費は無料,ただし最低でも1回はレポーターになっていただくことを条件にします。ご興味のある方は伊藤(tito [at] edu.hokudai.ac.jp)まで。参加表明締め切りは10月1日とします。

どうぞよろしくお願いいたします。

オンラインシンポジウム「いまヴィゴツキーをなぜ読むのか」最終案内(終了しました)

ヴィゴツキーの心理学理論や発達理論は今から90年ほど前に構想されたものでありながら、現在でもなお輝きを失わずに注目を集め続けています。では、現代の日本社会においてヴィゴツキー理論を読み、理解することにはどのような意義があるのでしょうか。

このことについて、彼の理論を精読し、翻訳を世に問い続けている3人の研究者から提供いただく話題を通して考えるオンラインシンポジウムを企画いたしました。多くの方のご参加をお待ちしております。

登壇者(敬称略)
佐藤公治 「ヴィゴツキーの三つの「時間」(系統発生・文化=歴史的変化・個体発生)を考える―「重層的発達論」あるいは「人間心理の歴史性」―」
ここでは、ヴィゴツキーの発達についての三つの時間、系統発生・文化=歴史的変化・個体発生に注目します。それはロシアの比較心理学で論じられていたヴァグネルらの比較心理学・動物心理学からの発達研究に源流があります。ヴィゴツキーとルリヤは人間精神と発達の問題として『人間行動の発達過程-猿・原始人・子ども-』(神谷・伊藤訳の『猿・自然人・子ども-労働と言語の歴史主義心理学』)と『認識の史的発達』で議論しています。特に後者では人間の精神活動とその発達を具体のレベルで論じたものですが、そこでは「具体の中の歴史」と「歴史の中での具体」があります。人間精神を具体のレベルとその歴史性について考えてみます(当日はPPTを使って補足します)。

伊藤美和子「ヴィゴツキー心理学の胎動期― 苦悩の克服と方法―」
10代から20代初めのヴィゴツキーにとってユダヤ人問題は死活問題であり、彼はユダヤ人に降りかかる厄災の意味を真摯に探求していた。「自由」と「悲劇」をキーワードに、1910年代に書かれた私的なメモ書き及びドストエフスキー論を中心に、ユダヤ人問題がヴィゴツキーの心理学研究とその後の展開にどのような影響を与えたのかを読み解く。

神谷栄司 「ヴィゴツキー(1896-1934)をどのように読む(研究する)のか―1 縦への連関と横への連関、2「知と情」の統一的把握、3 使用言語、そして、わたし自身の反省―」
「人格発達の壮麗な絵画:自由への道。マルクス主義心理学のなかにスピノザ主義を甦らせること」(1932年頃のヴィゴツキーのメモ書き)。これらの句の前には“知覚と感情”、“概念と感情”、“自閉的思考と感情の統合失調症的崩壊”などと書かれている。ここで述べられているマルクス主義心理学はヴィゴツキーのどの著作が典型であるのか、スピノザ主義を甦らせるとはどういう意味なのか、人格発達が自由への道であるとは何を意味するのか。これらを念頭におきながら、テーマについて話してみたい。

指定討論 加藤弘通

開催日時 2024年12月21日(土)13時~17時

開催方式 オンライン

参加費 無料

参加希望の方は下のURLよりフォームにてお申し込み下さい。
zoomに接続するリンクをメールにて追ってお送りします。
なお、本シンポジウムは後日の配信はいたしませんのであしからずご了承ください。
申し込み締め切り:2024年12月18日(水)
https://forms.gle/aJhDYP7vtKj5DD2t8

主催 日本発達心理学会北海道地区懇話会

オンラインシンポジウム「いまヴィゴツキーをなぜ読むのか」のお知らせ

ヴィゴツキーの心理学理論や発達理論は今から90年ほど前に構想されたものでありながら,現在でもなお輝きを失わずに注目を集め続けています。では,現代の日本社会においてヴィゴツキー理論を読み,理解することにはどのような意義があるのでしょうか。

このことについて,彼の理論を精読し,翻訳を世に問い続けている3人の研究者から提供いただく話題を通して考えるオンラインシンポジウムを企画いたしました。多くの方のご参加をお待ちしております。

●登壇者(敬称略)
話題提供
佐藤公治 「ヴィゴツキーの三つの「時間」(系統発生・文化=歴史的変化・個体発生)を考える―「重層的発達論」あるいは「人間心理の歴史性」―」

伊藤美和子「ヴィゴツキー心理学の胎動期― 苦悩の克服と方法―」

神谷栄司 「ヴィゴツキー(1896-1934)をどのように読む(研究する)のか―①縦への連関と横への連関、②「知と情」の統一的把握、③使用言語、そして、わたし自身の反省―」

指定討論 加藤弘通

●開催日時 2024年12月21日(土)13時~17時

●開催方式 オンライン

●参加希望の方は下のURLよりフォームにてお申し込み下さい。
zoomに接続するリンクをメールにて追ってお送りします。
なお,本シンポジウムは後日の配信はいたしませんのであしからずご了承ください。
申し込み締め切り:2024年12月18日(水)
https://forms.gle/aJhDYP7vtKj5DD2t8

●主催 日本発達心理学会北海道地区懇話会

出版記念オンライントークライブ『新しい言語心理学の新しさ』開催のお知らせ(終了しました)

2024年10月に刊行された『新しい言語心理学』(茂呂・伊藤・新原編,ひつじ書房)は,既存の言語心理学において前提とされている考え方に疑義を投げかけ,それに代わる新しい視点のもとで書かれました。それは,「ことばとは実践である」という視点です。

ウィトゲンシュタインやヴィゴツキーの理論を背景として提示されたこの視点が,既存の言語心理学をどのように刷新しようとしているのでしょうか。

このオンライントークライブでは,編者と執筆者からこの新しい視点の意義と執筆過程についてお話しします。さらに,ゲストからはこの視点で書かれた本書が臨床実践において果たすであろう役割についてコメントしていただきます。

本書がどのように書かれたのか裏話が聞ける機会です。多くの方のご参加をお待ちしています。

スピーカー
茂呂雄二(東京成徳大学,編者)
仲嶺 真(国際経済労働研究所/荒川出版会,執筆者)

コメンテーター
松嶋秀明(滋賀県立大学)

司会 伊藤崇(北海道大学)

日時 2024年10月27日(日) 15時~17時

開催形式 オンライン zoomによるリアルタイム配信 14時45分よりオープン

参加費 無料

参加申込方法 下記のURLからアクセスし,申し込みフォームよりお申し込み下さい。
締め切り:10月23日(水)
https://forms.gle/9d3hcApesYd8z9HJ6

ネットラジオはじめます

研究会や勉強会などでたいへんお世話になっている岡部大介先生におつきあいいただき,ネットラジオをはじめてみることにしました。状況論という,心理学のなかでも割とニッチな部分に特化した内容なのでニーズがあるのかどうか分かりませんが,ゆるゆると続けていければと思っています。

■どんな配信なの?■

心理学や認知科学においてすでにその一角を成している,状況論(situated approach)という考え方が世に現れておよそ30年が経ちました。

80年代から90年代前半に,先人たちが切り開いてくれた状況論の理論的な面白さを,(90年代後半に)大学生・大学院生であったわたしたちは感じながら研究を続けてきました。

ただその一方で,2010年代以降の,さらには「生まれたときから状況論」の若手研究者や大学院生とその熱狂を展開し,分かち合うことをわたしたちはサボりすぎていたように思います。

いただきものにお返しをしよう。あの,状況論が「生まれた」当時の熱気(本当に「熱気」があったのか?)を「ゆるゆると(コンヴィヴィアルに)」取り戻してみたい。そして,この先30年をちょっとでも前に推し進めていきたい。そんな単純な気持ちから,インターネットラジオを始めてみることにしました。

いきなり始めるのではなく,まずは「準備室」を開室しました。2人の「相談者」が,準備室の中で今後のインターネットラジオ企画についていろいろと画策する様子を一般に公開するのが,この,「コンヴィヴィアラジオ 生まれたときから状況論!(仮) 準備室」です。

■誰が話すの?■

岡部大介 @okabedaisuke
 1973年生まれ。東京都市大学教授。「ボス」(上野直樹先生)との密なつきあいの中で状況論に出会う。

伊藤 崇 @dunloeito
 1975年生まれ。北海道大学准教授。「師匠」(茂呂雄二先生)との衝撃的な出会いとともに状況論に出会う。

■いつどこでやるの?■

2021年9月24日(金) 19:00-20:00
YouTubeLiveにて限定配信します。
ちょっと聞いてみようかと興味を持たれたら, https://youtu.be/foWy95LY7ew にアクセスしてください!

Lave & Wenger (1991) “Situated learning”の「4章だけ」を読む会のお知らせ(終了しました)

各位

状況的学習論の基本文献である,Lave & Wengerの”Situated learning“が出版されて今年で30年となります。

この間,日本では,正統的周辺参加(Legitimate Peripheral participation)や実践共同体(Commuities of Practice)といった概念が状況論の広まりと深まりとともに盛んに取り上げられ,検討されてきました。それもこれも佐伯胖先生が1993年という早い時期に邦訳を世に出されたおかげかと思います。

しかしながら,私(伊藤)個人の経験で言えば,読みやすく理解を助けてくれる邦訳に甘えて原文を中途半端に読んでいたのではないかと反省しています。

そこで,この4月から有志の方々とともに,Lave & Wengerの原文をゆっくりと読む読書会を実施してまいりました。毎週,2時間程度,オンラインで,パラグラフごとに音読していき,書かれた内容とともに「書かれ方」にも注意を払って議論するという集まりです。

7月末までに3章まで読み終えましたが,議論を一段階深める第4章を終えずに読書会を解散するのはもったいない!ということで1~2日でLave & Wengerの「4章だけ」を原文で音読する読書会を企画しました。(書いていてものすごくニッチな企画だと感じ始めました…)

つきましては,一緒に読んでみたいという方がいらっしゃいましたら,ぜひ,8月25日(水)までに伊藤宛(tito@edu.hokudai.ac.jp)お知らせください。

ただし,条件としましては,原文で1~3章をすでに読んだ方,に限ります。ご関心のある方のご参加,お待ちしております。

日時: 8月28日(土) 13~18時
場所: オンライン(参加者希望者にZoomをお知らせします)
もちもの: Lave, J. & Wenger, E. (1991). “Situated Learning”の原書

(文責: 伊藤崇)
(共同企画者: 岡部大介,清田顕子,新川貴紀,津久井文,山﨑智仁 (五十音順))

Hedegaard et al. (2008) Studying children: A cultural-historical approachを読む会のお知らせ(終了しました)

下記の通り読書会を開催します。

読むもの 
Hedegaard, M. & Fleer, M. with Bang, J. & Hviid, P. (2008). Studying Children: a cultural-historical approach. Maidenhead: Open University Press.

日時
2021年7月3日(土) 10:00-18:00

場所
対面参加希望の方は 北海道大学大学院教育学研究院附属子ども発達臨床研究センター C302
オンライン参加の方は ZoomのURLをお送りします

担当
1 Researching child development- an introduction @tito
2 A cultural-historical theory of children’s development @Joseph Tomasine
3 Developing a dialectic approach to researching children’s development @Satou Yasunori
4 Principles for interpreting research protocols 太田礼穂さん
5 Interpreting research protocols- the institutional perspective 岡花祈一郎さん
6 Interpreting research protocols- the child’s perspective @Satou Yasunori
7 Using digital video observations and computer technologies in a cultural-historical approach 太田礼穂さん
8 Conceptualising the environment of the child in a cultural-historical approach @Joseph Tomasine
9 Interviewing using a cultural-historical approach 宮城利佳子さん
10 Framing a questionnaire using a cultural-historical approach 天願順優さん
11 The educational experiment @tito
12 The role of the researcher @tito

Lave & Wenger (1991)読書会の案内

伊藤です。

言語発達論大学院ゼミは2021年度前期において正規の講義を開講しません。その代わりに,下記の通り読書会を開催します。

読むもの

Lave, J. & Wenger, E. (1991). Situated learning: Legitimate peripheral participation. Cambridge University Press.

佐伯胖先生による定評ある邦訳は1993年に産業図書から出版されています。

ジーン・レイヴ,エティエンヌ・ウェンガー 佐伯胖(訳)・福島真人(解説) (1993). 状況に埋め込まれた学習:正統的周辺参加 産業図書

およそ30年前に出版された,すでに古典と呼んでもよいこの本を,あえていま,原書で読む理由は,自分たち自身で理解を作り上げる作業を共同的に経験したいからです。あなたの「正統的周辺参加」「実践共同体」に関する理解は,原著者以外の誰かの理解に依存してませんか? 私自身もこころもとないところがあります。原書にちりばめられた前置詞や冠詞の使い方,先行研究の引用の仕方などに注目して,著者たちの言いたいことを自分たちで再現してみたいと思います。

実施要領は下記の通りです。

スケジュール

2021年4月5日(月)から,原則として祝日を除く毎週月曜(7月末までを予定)

時間帯

18時~20時

実施方法

Zoomによるオンライン開催。
レジュメを用意して議論するのではなく,原著をひたすら「音読」します。黙読すると気がつかなかった点も,声に出すことでわかるようになるかもしれません。だいたいひとつのパラグラフを読み終えた時点で,気がついたことをみんなであげてみます。
このような方法ですので,ゆっくりとしか進みません。予定した時期までに1冊読み終えないかもしれません。その場合は,8~9月に集中して残りを読み切ります(こちらは詳細は未定です)。

参加資格

どなたでも。
ただし,次の①~③に該当できる方を優先します。①原則として,毎週参加できる方。②原書を自分で用意できる方。③Zoom接続にかかる費用などを自分で負担できる方。

参加申し込み

参加をご希望される方は伊藤(tito@edu.hokudai.ac.jp)までご連絡ください。ただし,人数があまりにも多くなると連絡調整だけでも大変ですので,上限を12名としたいと思います。オーバーした場合は,また考えてみます。

この案内は転載自由です。どうぞよろしくお願いします。

オンラインシンポジウム『「道具と結果」方法論から見た学校臨床』開催決定!(終了しました)

企画趣旨

心理学理論は強力な「道具」である。しかしそれが「適用」されるとき,理論は無謬であるもの,教育実践やその対象は修正されるべきものとされる。すなわち,道具としての理論の想定する「あるべき結果」に実践が引き寄せられる。Newman & Holzman (1993/2014)がヴィゴツキー理論から導いた「道具と結果」方法論は,道具とは適用されるものではなく実践されるものとする。この方法論を援用するなら,理論という道具は学校においてその意義を変える可能性をもつ。

たとえば,理論をもつことにより,その適用対象となる生徒への「見え方」が変化する。つまり,理論を持ち出した当の実践者自身が変化するかもしれない。理論を「使う」意味とは,使用者にとって理解可能なように対象を変化させるところにあるのではなく,むしろ自らが変化し対象を理解できるようになることでもあるかもしれないのだ。

この問題について,『少年の「問題」/「問題」の少年』(新曜社)を執筆した松嶋秀明氏と,Newman & Holzman (1993/2014)の日本語訳(『革命のヴィゴツキー』(新曜社))を上梓した川俣智路氏と伊藤が互いに互いを補完しあうべく鼎談する。

COVID-19という脅威は,社会の機能を停止させ,変化という歴史を前面に立たせている。そうした現在,教師をはじめとする大人たちは,変わることのできる者として学習/発達しているはずである。このように現象を見る「道具と結果」方法論について議論してみたい。

なお本企画は日本発達心理学会北海道地区懇話会企画として実施される。

また,本企画は,日本教育心理学会第62回総会にて自主シンポジウムとして実施する予定だったものである。総会が今般のCOVID-19の感染予防の観点から参集しての開催をしないこととなったため,企画者により自主的なオンラインシンポとして実施することとした。

開催概要

話題提供
松嶋秀明(滋賀県立大学教授,『少年の「問題」/「問題」の少年』著者)
川俣智路(北海道教育大学准教授,ニューマン&ホルツマン『革命のヴィゴツキー』訳者)

司会
伊藤 崇(北海道大学准教授,ニューマン&ホルツマン『革命のヴィゴツキー』訳者)

日時:2020年9月12日(土)13~15時
使用プラットフォーム: Zoom

  • 参加を希望される方は,こちらのGoogle Formに登録してください。
  • 重要 9月7日19時をもって受付を終了いたしました。(9/7追記)
  • 参加者の上限を90名とします。あしからずご了承ください。
    • 残席 26 (残席数は定期的に更新されます)
  • 8月28日以降,2名の話題提供者(松嶋氏,川俣氏)による話題提供動画がYouTubeにアップロードされます。8月28日以降に, 動画のURLを記載したメールを参加登録者にお送りしますので,9月12日までに2本とも視聴しておいてください。
  • 重要 参加申込をされた方へ、動画のURLを記載したメールをお送りしました。企画者よりメールが届いていない場合は下記メールアドレスまでお問い合わせください。(8/28追記)
  • これらの動画は本オンラインシンポに参加する方だけの限定公開です。終了後,動画は削除されますのでご了承ください。
  • 当日は,2本の動画の内容について話題提供者間で語りあいます。参加者の皆様が動画や当日の オンラインシンポにコメントしたり質問したりする方法は,次の2つです。
    • 12日まで:メールにて受けつけます。アドレスは toolandresult[at]edu.hokudai.ac.jp です([at]を@に書き換えてください)。
    • 12日もしくは オンラインシンポ中:Zoomのチャット機能で受けつけます。 チャット機能の詳細はこちらなどをご参照ください。

 なお, オンラインシンポで議論された内容は,後日,新曜社ウェブマガジン「クラルス」に掲載される予定です。残念ながら当日ご参加いただけない方は,掲載された内容をご参照ください。

話題概要

誰がなにに適応するのか?

松嶋秀明

近年,スクールカウンセラーには「心理教育」の機会も増えるようになった。例えば,ソーシャルスキルトレーニング,アサーショントレーニング,あるいはレジリエンス教育など,多様な心理的介入が学校場面に持ち込まれ,それらは生徒の諸課題を解決するものとして期待されている。これらはニューマンやホルツマン(例えば,ホルツマン, 2014)がいうところの「結果のための道具(tool for result)」的な介入といえる。

こうした支援は,実践的に効果をもつかどうかとは関係なく,(1) なにが望ましい適応かが,教師側にとって一義的に決められていること,(2)志望校にうかるという目標のためだけに,全てを我慢して受験勉強するといった例と同様,「適応」にいたる過程そのものは,当事者にとって意味があるとはいえないという点で不十分である。いったい「適応」や「立ち直り」とはなんだろうか。それを本人にとっても意味のある活動としておこなえないだろうか。

以下では,報告者がとりくんだ「荒れ」た学校におけるフィールド研究(松嶋, 2019)をとりあげる。A中学校では1年生入学当初から10名以上の生徒の授業エスケープ・妨害がおこり,対教師暴力もあったが,教師集団の対応によって2年時には「落ち着いた」とみられるようになった。問題生徒だった生徒のなかにも2年時になると,教室に入る回数が増えたものもいた。学級集団が成熟し,こうした生徒の授業参加を支えていた。と同時に,この学年の教師たちの多くが「無理に入れようとせず,1時間廊下で話をきいてやる方がよい」というように,集団のルールではなく,個別のニーズにあわせた関わりを主体的に選んでいた。つまり,学校が「落ち着いた」のは生徒たちがルールをまもるようになったからだけではない。教師もまた生徒とのよい距離をとれる自分になったのである。

さて,学級集団が成熟することは,授業参加できず「たまる奴がいない」と以前の荒れた状態をなつかしみ,「僕には友達がいない」と担任にもらすなど,学校で疎外感をつのらせ,次第に校外の非行仲間とのつながりを強める生徒(アキ)もうみだした。こうした生徒に対して教師は,他校生とのつきあいを抑制するよりむしろ,逸脱行為についても自由に話せる雰囲気をつくることで,積極的に関わりのなかに参入した。と同時に,校舎の補修に誘うといった方法で,授業に入れないアキに学校活動へ関与させ,手先が器用であるといったストレングスを見出し,評価した。その結果,対人トラブルを教師の助言をかりつつ解決したことで「感謝される」ことの価値に気づいた。と同時に,自分の将来・進路についての意識を高め,現在の非行的交遊のデメリットを意識化でき,学校に来ることの意味を再考することにもつながった。

こうした変化は,当該の生徒が1 人でなしとげた解決ではない。教師にみちびかれながら,これまでとは違う自分をパフォーマンスしたともいえる。注目すべきは,生徒は教師がおこなったなんらかの介入の結果として,よい変化をおこすことができるようになったというよりは,むしろ,教師が誘った活動そのものが,その生徒を社会的に許容されえる変化にいざなうものでもあったということだろう。また,このような活動にさそうために,教師は他校生とのつきあいを抑制するのではなく,むしろそれを許容したり,積極的に非行を話題にするといったように,一見すれば教師らしくない活動をおこなっている。いわば教師として十分な成果をあげようとすることを諦めたことこそが支援の端緒だったのである。

まとめればA中学校での実践は,非行生徒の行動だけが改善したというより,むしろ,教師の意識も行動も変化することを通して,全体の布置の創造的な変化が導かれているといえる。当日は,こうした事例を,ふまえて学校臨床場面における研究のあり方について議論したい。

「子どもの発達のための心理学理論」から「子どもの発達と心理学理論」へ

川俣智路

学校において,子どもの成長発達を支えること,あるいは期待される学習のために発達を促すことは重要な課題として今日では認識されているだろう。そして,そのために心理学理論は学校生活の様々な場面で活用されるようになった。ソーシャルスキルトレーニングや応用行動分析の知見に基づく行動改善,心理検査による知能の測定やその結果を生かした支援,読字や書字の困難を改善するための認知特性に基づく学習支援など,様々な心理学をベースにした取り組みが実施されている。

これらの取り組みはいわば,発達を促すことにより学習を成り立たせる取り組みであると言えるだろう。しかし,学校では実際にはいつもこのような取り組みが期待した成果を挙げているかというと,そうとは限らない。例えば,ソーシャルスキルトレーニングを実施し,練習場面では適応的な振る舞いができるのに,実際に学級に入るとそれができなくなってしまう,ということはしばしば見聞きすることである。あるいは,アセスメントを実施して,流ちょうに音読ができない理由を突き止め,それを改善するための指導を実施したにもかかわらず,いっこうに教科書を読もうとはせず授業にも参加できない,ということはけっして学校現場において珍しくはないだろう。

このとき,心理学理論はある期待された行動を導くために活用されていると考えられる。教室内で適応的な行動ができるようになるために,ソーシャルスキルが教えられ,すらすらと教科書を読めるようになるために,音読のスキルが上がる方法が教えられるのである。しかし,児童生徒を教室の中で観察すると,学芸会でその生徒がとても希望していた役を担当することになり,練習に熱中しているうちにだんだんと読みが改善されていった,という経験をすることがある。さらにいえば,音読のトレーニングを受ける過程の中で,担当の教員とその児童に信頼関係が生まれ,音読は改善しなかったが,教室内の行動がより適応的になった,というが生じることもあるだろう。本報告で紹介する児童Aの事例も,まさにこうした事例である。

児童Aは,教室内で同級生とトラブルになる子とが非常に多く,教室を飛び出してしまうことが常態化していた。また,授業中には消しゴムや鉛筆で手遊びをして過ごしており,まったく学習活動に参加することができなかった。そこで,児童Aの周囲の教員やスクールカウンセラーは,児童Aの問題行動を改善するために,いくつかのターゲットとなる問題行動を設定し,毎朝児童Aにターゲット行動を回避するように指導し,放課後にはそれができたかをふり返る,という行動変容のための働きかけを実施した。児童Aは働きかけが始まった直後は,毎朝ターゲット行動をしてはいけないことを認識はするも,それをコントロールすることはできずにいた。しかし,この学校に新たな教員が来て,その教員を気に入った児童Aが「きちんとやっているところ」を見せようとすることを契機にして,児童Aは徐々に変化し,そのことが教員や他の児童の児童Aへの認識を少しずつ変えていくことにつながり,結果として児童Aの学級への適応は改善されていったのである。この事例において心理学理論はどのような役割を果たしたのだろうか。

学習が発達に依存し,後に続くものであるという考え方を否定したのがヴィゴツキーである。ヴィゴツキーは学習と発達は弁証法的な統一体であり,学習が発達に先行し発達を導くと主張した。Newman & Holzman (1993/2014)は,こうしたヴィゴツキーの考え方を,「道具と結果(tool andresult)」方法論と位置づけ,先に紹介した発達が起こることにより学習が導かれるというアプローチを結果のための道具(tool for result)アプローチと位置づけた。心理学理論が「道具」であるならば,私たちは学校臨床においてこの道具をどのように用いて,そしてそこから生まれる結果をどのように考えていけば良いのだろうか。当日は事例Aについて検討しながら,道具と結果方法論から心理学理論をどう学校で「活用できるか」について議論してきたい。

文献
ホルツマン, L. 茂呂雄二訳 (2014). 遊ぶヴィゴツキー:生成の心理学へ 新曜社
松嶋秀明 (2019). 少年の「問題」/「問題」の少年:逸脱する少年が幸せになるということ 新曜社
Newman, F. & Holzman, L. (1993/2014) Lev Vygotsky: Revolutionary scientist. Psychology Press. (ニューマン,F.・ホルツマン,L. 伊藤崇・川俣智路訳(2020). 革命のヴィゴツキー 新曜社)

教員が著書を出版しました

当研究室の伊藤崇准教授が、共立出版より著書を出版いたしました。

伊藤崇 (2020) 大人につきあう子どもたち:子育てへの文化歴史的アプローチ

「子育て」は子どもの生存に不可欠なもの、という考え方は常識的ですが、それは子育てを行う大人からの見えに基づく見方です。では、当の子どもにとっては大人の行う子育て実践はどのように見えているのでしょうか?

本書は、 人間の発達に関する心理学的なアプローチである文化歴史的アプローチ(Cultural Historical Approach)に立脚し、周囲の大人たちとの相互行為を通して子どもが自分の生きる環境をいかにして組織しているのか、という問題を議論します。子どもにとって「大人が自分(子ども)に対して行う子育て」とは、子どもが生活環境を組織する際の手がかりとなるものです。

相互行為を分析する際には、社会学における会話分析(Conversation Analysis)の方法論を援用し、大人と子どもの相互行為を微視的水準で記述しています。このように社会学と心理学の方法論や枠組みを用いて、本書では子どもから見た「子育て」という人間の活動の意義について論じます。

子どもの発達に対する私たちの見方が変わるかもしれません。ぜひご一読ください。